講談社の青年コミック誌「モーニング」で、『チェーザレ』という劇画の連載が始まった。チェーザレとは、中世イタリアの専制君主の一人で、マキャベリの「君主論」で理想の君主として称えられた、チェーザレ・ボルジアのことだ。日本では塩野七生さんの『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』という歴史小説で知られていると思う。僕の愛読書の一つだ。
普段モーニングを読むことはないが、コンビニで見かけた表紙の絵とタイトルでピンと来て、つい買ってしまった。塩野さんが原作者になっているのかと思ったのだが、それは違った。とはいえ、少女漫画チックな絵柄ながら、それなりに期待できる出だしに満足した。
チェーザレは、日本で言えば織田信長のような人物だ。ローマ法王の私生児という出自ながら、使えるものはヒトであろうと縁故であろうと、全て利用し尽くして権勢を追い求めた野心家である。しかしながら、その行為は結果として、分裂していたイタリアを統一して諸外国からの侵略を防ぐという大義名分に常に正当化できるものであったため、怖れられると同時に理想の君主と称えられることにもなった。毀誉褒貶の多い人物、であるといえる。
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